助成金受賞者インタビュー
第一回 2025年度助成金受賞者インタビュー
大阪大学大学院 医学系研究科 細胞生物学
助教
鷲見 拓哉 様
研究題目:
ゴルジ体の構築と糖鎖合成酵素のゾーン形成の分子機構の解明
Q. 今回の研究の一番のポイント(強み)を、一般の方にも分かりやすく教えていただけますか?
2024年にNature Communicationsで、ゴルジ体に関する新しいモデルを提唱しました。今回の研究では、そのモデルに基づき、ゴルジ体がどのように働き、維持されているのか、その仕組みを解明することを大きな目標としています。これまでの研究では、CRISPR-Cas9システムと超解像顕微鏡を用いることで、ゴルジ体が「ゴルジユニット」と呼ばれる小さな構造体から構成されていること、さらにゴルジ体に存在する糖鎖合成酵素が、単独で分散して存在しているのではなく、「ゾーン」と呼んでいる集合体を形成していることを世界に先駆けて報告しました。
今回の助成研究では、私たちが提唱したゴルジ体の概念に基づき、糖鎖修飾を受けるタンパク質が実際に糖鎖合成酵素のゾーンを通過するのか、また、ゴルジユニットと呼ばれる小さなゴルジ体がどのように融合や分裂を行っているのかを研究しました。さらに、糖鎖合成酵素のゾーン形成に関わる因子についても解析を進めました。
Q. 今回の助成を通じて、当初の計画からどのような進展、または新たな発見がありましたか?
助成金を受けて、糖鎖合成酵素による糖鎖修飾を可視化するための遺伝子改変細胞株を取得することができました。これらを用いることで、実際に糖鎖修飾を受けるタンパク質が、それに対応する糖鎖合成酵素のゾーンとよく共局在することを確認できました。また、ゴルジユニットの形成や維持に関わる因子を探索するためのスクリーニングを行い、複数の候補因子を見つけることができました。ゾーン形成については以前から取り組んできたテーマですが、今回の助成によって、その解析を進めるための準備や研究基盤を整えることができました。
Q. 今後の研究活動における、次なる挑戦や目標についてお聞かせください。
今回の研究によって、さまざまな候補因子が得られてきたため、今後はそれらについて詳細な解析を進めていきたいと考えています。 その後、候補因子を用いたノックアウト細胞やマウスなどの動物モデルによる解析を進め、糖鎖修飾異常やゴルジ体異常が関わるヒト疾患との関連、さらに生理的な機能について、より詳細に明らかにしていきたいと考えています。将来的には、これらの研究成果を疾患の診断や治療方法の開発にも役立てられればと考えています。
Q. 当財団の助成金は、使い勝手やサポートなど、どのような点で魅力を感じられましたか?
研究計画に応じて、柔軟に活用できた点が最も魅力的だと感じました。特に私の研究では、超解像顕微鏡の設備利用料や、スクリーニングにかかる費用、さらにノックイン細胞の作製や維持に必要な継続的な費用など、さまざまな研究用途に助成金を活用することができました。そのおかげで、研究を円滑に進めることができ、大変助かりました。